「金と銀」(谷崎潤一郎)
いけないいけない、同化してはいけない 「金と銀」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅩ」)中公文庫 妥協の道は断じて有り得ない!己が飽く迄も生きて、発達して、天才の境地に伸びて行くには、青野が此の世から居なくならなければ駄...
いけないいけない、同化してはいけない 「金と銀」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅩ」)中公文庫 妥協の道は断じて有り得ない!己が飽く迄も生きて、発達して、天才の境地に伸びて行くには、青野が此の世から居なくならなければ駄...
ホラーなのか、単なる法螺話なのか 「柳湯の事件」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅧ」)中公文庫 「僕は今夜、人殺しの大罪を犯して居るかも知れません。自分では全く分らないのです。人殺しがあったのはほんとうで、下手人は僕で...
美は即ち滅び、その美学、谷崎潤一郎の世界 「創造」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅩⅣ」)中公文庫 「男が女から妖艶な柔かみを借りて来た時、始めてほんとうの美しさを発揮するのさ。人間に純粋の男や女がないと同じく、その肉...
味わいどころは三つの「暴露」 「The Affair of Two Watches」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅢ」)中公文庫 「つまらんさ!そんな事をしたって!其れよりは多勢引っ張って行ってウント牛肉でも食わして...
つまり、マゾヒストのお話なのです 「饒太郎」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅡ」)中公文庫 即ち、彼は自分の恋慕して居る女から同じように恋慕され敬愛される事を忌み嫌うのである。饒太郎の恋と云うものは、男女相愛の関係から...
さぞかし異国ロマン溢れる作品かと思いきや… 「独探」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅥ」)中公文庫 私は此れから私の友人であったG――と云う墺太利人の話をしようと思って居る。彼は今年の二月ごろ、図らずも独探の嫌疑を受け...
夜の東京の闊歩から、最後は神々しいメルヘンへ 「詩人のわかれ」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅢ」)中公文庫 此の頃の出来事なのです。三月初めの、或る日の朝のことでした。Aと云う歌人と、Bと云う戯曲家と、Cと云う小説家...
「大衆文学」としての小説の在り方をギリギリまで追究 「潤一郎ラビリンスⅦ」(谷崎潤一郎) 中公文庫 「病蓐の幻想」神経衰弱に取り憑かれて病床に伏している「彼」は、虫歯も患い、その激痛のあまり、精神が変調を来す。さらには今...
ならば文学作品の中で猫とじゃれ合えば 「猫と庄造と二人のをんな」「ドリス」(谷崎潤一郎)(「猫と庄造と二人のをんな」)中公文庫 リリーを譲って欲しい。前妻・品子からの手紙を見て、福子は動揺する。しかし、自分以上に雌猫・リ...
谷崎作品を味わうなら、毒まで 「私」(谷崎潤一郎)(「潤一郎ラビリンスⅧ」)中公文庫 「私」と同室の学生三人は、寮での盗難を話題にしていた。犯人は下り藤の紋付きの羽織を着ていた。平田は当事者からの話を紹介しながら「私」の...